ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が、5月8日(日本時間9日)のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦で、再びその驚異的な打力を世界に見せつけた。フェニックスのチェイス・フィールドで行われたこの試合で、大谷は「1番・指名打者」として先発出場。5打数1安打1打点の成績を残し、9回2死の土壇場で放った11号ソロホームランが、敵地のスタンドを震撼させた。この一打は、打球角度わずか22度の低弾道ながら、時速181.7キロ、飛距離129.8メートルの「超弾丸ライナー」として記録され、MLBの歴史に新たな足跡を刻んだ。

試合はドジャースが3点ビハインドで迎えた9回裏、2死走者なしの絶体絶命の場面。ダイヤモンドバックスのクローザー、右腕ケビン・ギンケルがマウンドに上がった。大谷はフルカウントまで粘り、7球目に投じられた真ん中の154キロ直球を完璧に捉えた。打球は鋭いライナーでセンターバックスクリーンに突き刺さり、チェイス・フィールドは一瞬にして騒然となった。低弾道にもかかわらず、驚異的な打球速度でスタンドに届いたこのホームランは、大谷の並外れたパワーと技術を象徴する一打だった。現地の解説者も「こんな打球は見たことがない」と絶賛し、ソーシャルメディア上では「大谷のバットから放たれたミサイル」と称賛する声が飛び交った。

この試合での大谷の他の打席を振り返ると、初回は1ボールから中飛に倒れ、3回1死では左飛、5回2死では痛烈な当たりを放つも二塁手の好守に阻まれて二ゴロ、7回2死一塁では空振り三振と、チャンスをものにできなかった。それでも、最終打席での劇的な一発で存在感を示し、試合終了時の打率は.296を維持。2025年シーズン序盤から安定した打撃成績を残しており、ホームラン数はナショナルリーグトップを争うペースだ。

一方、チームとしてのドジャースは惜しくも5対3で敗れ、連勝はストップ。先発の山本由伸投手は5イニングを投げ、5失点(自責点4)で3敗目(4勝)を喫した。山本は初回に2点を失い、3回にもソロホームランを浴びるなど、ダイヤモンドバックスの強力打線に苦しめられた。それでも、奪三振6を記録し、持ち前のキレのある投球で要所を締める場面もあった。試合後、山本は「立ち上がりが課題。次は修正して臨みたい」と前を向いた。

大谷のこの日の活躍は、2024年に達成した「50-50」(50本塁打・50盗塁)の偉業を彷彿とさせるものだった。2025年は二刀流復活が期待される中、打者としての彼の進化は止まらない。すでに11本塁打を放ち、打点と得点でもリーグ上位に名を連ねる大谷は、ドジャースの攻撃の核としてチームを牽引している。特に、逆境での一発は、チームメイトやファンに大きなエネルギーを与えた。監督のデーブ・ロバーツは試合後、「ショウヘイの打球は信じられない。あの場面で放つのが彼のすごさだ」と称賛を惜しまなかった。

ダイヤモンドバックス戦は、両チームにとってナショナルリーグ西地区の首位争いを占う重要な一戦だった。ドジャースは現在、地区首位をキープしているが、2位のダイヤモンドバックスとのゲーム差は縮まりつつある。この4連戦の初戦を落としたドジャースにとって、残りの試合での巻き返しが求められる。大谷自身も「チームとして勝ちたかったが、明日またチャンスがある」とコメントし、次戦への意気込みを示した。
大谷の11号ホームランは、単なる一打以上の意味を持つ。低弾道での驚異的な飛距離は、彼の肉体的な能力と緻密な技術の融合を証明するものだ。日本のファンも、X上で「大谷の打球音は別次元」「あの角度でスタンドインは異常」と興奮を隠せない様子だった。2025年シーズン、大谷は再び歴史を塗り替える勢いで突き進む。次戦は日本時間5月10日、佐々木朗希投手の先発が予定されており、日本人トリオの活躍に期待が高まる。ドジャースの反撃、そして大谷のさらなる一撃に、ファンの視線は釘付けだ。